まず、タイトルが強烈な『面接ではウソをつけ』のお話を伺いたいです。
柿内:構想9年です。
―柿内さんは確か社会人9年目ですよね、ということは…
柿内:そう、僕が自分の就職活動で実践したことです。この「ウソ」は、TOEICの点数や学歴、プロフィールなどでなく、自分の性格につく「ウソ」です。
先ほども言った通り、僕は全然自分に自信がありませんでした。それなのにうっかり電通の試験を受けに行った時に、本当にひどい気持ちに陥りました。まわりは体育会系やリア充ばかりで、みんな自信と成功体験に溢れているんです。もう気圧されてしまって、せっかくエントリーシートと筆記試験に受かったのに、面接会場を目の前にして逃げ帰り、家で頭から布団をかぶって「もうだめだ」と絶望的に落ち込みました。その後、円形脱毛症にもなりましたよ。
そこで切羽詰って考えたのは、演技をする事でした。
素の自分は、就職活動のシステムには向かない人格だけれども、面接というシステムをまず理解しようと思ったんです。そこで、「自己分析」をやめて「他己分析」にシフトしました。実際、1次面接を20回くらい受けて、全部落ちていましたから。
そもそも面接とは何なのか?と考え初めてたどり着いたのが、果たして人を15分で評価することが出来るんだろうかという疑問。無理ですよね。
では、何を評価軸として判断しているかを知るために、飛び込み営業の本など、一見畑違いと思われる本をたくさん読みました。そうしたら、決め手は「空気」であるという結論に至りました。
大事なのは、言っている「内容」では無かったんです。「こいつ、良さそうだな」っていう言っている「感じ」。
―そこに、学生の時に辿りついたのはすごいですね。
柿内:切羽詰まっていたんです(笑)
どうせ相手も自分の事を知らないから、恥ずかしさを捨てて、演技をすればいい。そこまで分かったら、今度は内定を何個もとっている友達何人かを観察して、平均して、「採用したくなる感じ」を研究しました。髪型から、話し方、そして目線の動かし方。僕、人の目を見て話すことがとても苦手だったんですが、きちんと目を見て話すことにしました。
そうしたら、如実に結果が現れました。面接で話す内容は以前と変わらず、「学生時代に頑張ったのはアルバイト」とか「美術の課題が好きだった」とか、普通の事を話しているだけ。
ちがうのは、ドアをノックする音を開演のブザーに見立てて、今から15分の独り舞台が始まるぞ!と、自分の世界に入ることです。
それからは一次面接で落とされることは一度もなく、殆ど、最終選考かその前までは行けるようになりました。
ここまで極端な成果がでたのですから、これは本にしたい、とその時から心に決めていたんです。