■バーチャルに生きる者を食わす
本格開始から2カ月でSNS(交流サイト)の「mixi」が1年4カ月かかって達成したアクセス件数を集めたニコ動。その急成長ぶりが話題を集めていた07年3月、川上会長はこう話していた。
「リアルからバーチャルへの大移住が始まっているんです。いいか悪いかは別として、バーチャルをリアルとして生きる人間が増えるのは間違いない。避けられない。それが先進国。だから、『ネットのせいでニートが増えて困る』とか言ってる場合じゃなくて、バーチャルに移住するためのツールや仕組み、その社会はどうあるべきかを真剣に考えないといけないんですよ」
「最近、ドワンゴはそれを考える会社なんじゃないかなと思い始めたんです。社会的にはあまり評価されないけど優秀な人が働ける会社を作ろう、バーチャルに生きて稼ぎがない人が生活できる会社を作ろう、という思いが創業の根本。創業メンバーって、もともとリアルの知り合いじゃない。バーチャルで集まって上場したのって、うちだけじゃないかな。だから、バーチャルに根ざした社会に必要なツールを作るのに、一番近いポジションにいるんだろうと思うんです」
90年に京都大学工学部を卒業した川上会長は、大手ソフトウェア販売のソフトウェアジャパンに入社するが、経営悪化で96年に営業停止したのを機に、ネット上のプログラマーのコミュニティーやオンラインゲームで活躍していた仲間とドワンゴを設立した。同じようにネットで発揮されている才能をリアルの社会で生かすインフラを作れないか、と考えた。そうして出来たのが、ニコ動だった。